キャットフードの原料に穀物が使われる理由

キャットフードの原材料に穀物が含まれているのは、ほとんどの場合「かさ増し」のためです。猫の健康のため食物線維を配合している、とうたっている製品もありますが、食物繊維の効果を期待するのであれば材料の3割から5割に穀物を使う必要はありません。安価なキャットフードにたくさんの穀物が使われているのは増量のためです。

穀物は猫に必要ないのか

穀物自体が悪いのではありません。穀物に含まれる食物繊維や主な成分である炭水化物が猫にとって必要な栄養を与えてくれるのも確かです。

しかし、本来は食物繊維も炭水化物も猫にはほとんど必要ありません。

猫が摂取する炭水化物は少なくていい

雑食性の人間や犬は炭水化物(穀物などに多く含まれます)を食べ、体の中で糖分に変えてエネルギー源にしています。お肉や魚からとるタンパク質を使って、骨や筋肉といった体をつくる部分を維持しています。
私たちは穀物などの炭水化物はエネルギーへ、肉や魚のタンパク質は体の維持へと栄養を使い分けているのです。

しかし、猫はもともと肉食動物です。
体調の悪いときに猫草(稲系の野草)を食べることはあっても、積極的に野菜や穀物をとることはありません。猫も人や犬と同じように肉からタンパク質を得て体を維持しています。そしてタンパク質を分解してエネルギーに変えることができるため、炭水化物はほとんど必要としていないのです。

つまり、猫は肉だけで体の維持とエネルギーの補給が可能なのです。

猫のからだは炭水化物の消化に向いていない

人間とは違い、猫の消化器官は肉から必要な栄養をとることに効率のよい作りになっています。

小腸の役割

小腸は活発に動くことで、口や胃の中で分解された食べ物から栄養を吸収する役目を果たしています。肉食動物である猫の小腸は発達していて、草食動物や雑食動物よりもタンパク質を効率よく吸収できるつくりになっています。

大腸と食物繊維の役割

大腸は、食べ物から水分を吸収し、植物に含まれる繊維質を発酵分解させて栄養としてとりこむ役割を持っています。
食物繊維は大腸に食べ物がとどまることを助け、栄養が吸収された後のカスをまとめて排泄されやすくしてくれる特徴があります。

猫の大腸

猫は肉食動物ですから、食べ物を大腸にとどめて発酵・吸収する必要がありません。大腸では水分を吸収すればよいのです。そのため、人や犬に比べて大腸の長さが短くなっています。食物繊維を分解する役目を持つ盲腸もありませんから、猫は食物繊維をうまく消化することができないのです。

では、本来必要ない穀物が多くのキャットフードに使われているのはなぜでしょうか。

穀物主体のキャットフードのメリット

価格を抑えることができる

キャットフードの原材料を動物性のタンパク質だけにすると穀物主体のキャットフードに比べてかなり高価な物になります。安価なキャットフードはそのほとんどが海外で生産されています。使われているのは現地で栽培されているトウモロコシや小麦です。価格を抑えるためには仕方がないことだといえます。

植物由来の栄養素を与えることができる

トウモロコシや小麦、米などの穀物には、動物性の食べ物にからはとることができない植物由来の栄養素が含まれています。肉食動物は草を食べませんが、草食動物の内臓を食べることでそれらの栄養を補っています。飼い猫に、生き餌や新鮮な内臓を毎回与えるわけにはいきません。穀物主体のキャットフードならその部分を補うことができます。

腎臓への負担を減らすことができます

猫は高齢になるとそのほとんどが腎臓に何らかの病気を抱えるようになります。高タンパクの食べ物は腎臓に負担をかけるので、腎臓に問題のある猫にとっては穀物主体のキャットフードの方が適している場合もあります。

穀物主体のキャットフードのデメリット

消化不良

猫の消化器官は肉食用に特化しています。
歯は食べ物をすりつぶすようにできていないし、唾液には穀物のデンプンを分解する消化酵素・アミラーゼが含まれていません。その分、すい臓が頑張ってアミラーゼを分泌することなるため、穀物主体のフードではすい臓が炎症を起こすことがあります。

胃や腸も時間をかけて穀物を発酵分解することができません。猫によっては消化不良をおこし、下痢や嘔吐、便秘を引き起こす原因になります。

肥満、糖尿病

炭水化物からエネルギーを得ている人間でもとりすぎはよくないといわれています。ましてや本来は炭水化物をとる必要ない猫にたくさん与えるのはやはり考えものです。穀物に含まれる炭水化物は糖になって吸収されます。エネルギーとして使われない糖分は脂肪として体に蓄えられます。これが肥満の原因になり、糖尿病を引き起こすこともあります。

アレルギー

小麦やトウモロコシはアレルギーの原因であるアレルゲンなりやすい食品です。アレルギーとは体の拒否反応です。小さい時期から消化の悪い穀物主体のキャットフードを食べ続けていると1〜3歳でアレルギーを発症する恐れがあります。

飼い主の責任

猫が本来持っている特性を考えると、かさ増しされた穀物主体のキャットフードはおすすめできるものではないといえます。

穀物を使っていないキャットフード(グレインフリー)を与えればいいのですが、穀物使用の物に比べるとかなり高価です。手作りの御飯も手間がかかりますし、材料費や必要な栄養素のバランスを勉強する時間を考えると準備するのは大変です。

穀物主体のドライフードだけでは不安を感じるなら、動物性の猫缶をプラスしたり、グレインフリーのフードに比較的問題少ないといわれているオカラ(卯の花)を混ぜたり、工夫してみましょう。

ルールを守って餌やりを

キャットフードは不調の原因のひとつですが、多くの猫が穀物主体のキャットフードを食べて元気に長生きしているのもまた事実です。

猫が体調を崩す一番の原因をつくっているのは飼い主です。

キャットフードには年齢や体重に合わせて1日に与える量が決まっています。欲しがるから、可愛いから、寄ってくるからといって、四六時中オヤツやフードを与えていれば太るのはあたりまえです。肥満は万病の元です。まずは飼い主が食事のルールを守ってください。

まとめ

なぜキャットフードに穀物が入っているのだろうと考えるのは素晴らしいことです。それだけ猫に真摯に向かい合っているということだからです。その目線を大切にしていれば猫の不調をすぐに見つけることができるでしょう。

大切なのは猫と向き合う飼い主の姿勢だということを忘れないで、猫との生活を楽しんでください。